経験から学べ!

経験から学べ!〜《令和2年7月豪雨》の経験から得た学びとは〜

はじめに

7月初旬、私が住んでいる熊本、そして多くの地域を豪雨が襲いました。

まず、被災された多くの方々に心からお見舞い申し上げます。

 

今回発生した令和2年7月豪雨は、私自身も命の危険を感じて一時的に避難しました。

幸い私の住んでいる区域で大きな被害はありませんでした。しかし2,30分ほどしか離れていない町では浸水被害が発生し、現在も多くの方避難生活を送られています。

さて、最終的に避難した私ですが・・・。

「私たちも危ないかも」と感じてから実際に避難するまでに2時間もかかったのです。

命の危険を感じたのに、なぜすぐに逃げなかったのか?

結論から言うと、今世界中で問題となっているコロナウイルス避難場所など、さまざまな問題が発生したからです。

今回は、この令和2年7月豪雨の私の行動と学びについてお話します。

この記事はこんな方におすすめ!
  • 災害おこる前にどんな対策ができるのかを知りたい
  • なぜすぐに避難しなかったのか、当時の気持ちを知りたい
  • 水害の場合の避難について知りたい

「これは“訓練“と思って動け!」私の6つの豪雨対策

7月3日(金)夕方。

天気予報で気象予報士が発した

「週明けまで九州、特に熊本では大雨が予想されます」

「災害発生の恐れがあります。」

という言葉に、今回は注意しないといけないと感じたのです。

何故なら、家の目の前には日本三大急流と呼ばれ、地元が誇る球磨川が流れているから。

ふゆみ
ふゆみ
とても大きな川で、ラフティングもした事があるよ!大好きな川なんだけど・・・。家はその堤防沿いにあるんだ。
とりクロ
とりクロ
堤防沿いか!それはちょっと怖いね!

 

大きな堤防ではありますが、もしこれが決壊するほどの雨量があれば、間違いなく家周辺は浸水します。下手したら流されるかもしれません。

ハザードマップ上で調べても、我が家は浸水する可能性が高い区域にありました。

 

水害の際は水平避難垂直避難という、2種類の非難方法があるとされています。

垂直避難とは、水害などの際に建物に対して垂直=上の階に避難する事をいいます。対して水平避難とは、事前に各地区で指定されている避難場所まで移動する事をいいます。

どちらの避難方法を選ぶかしばらく悩みました。しかし

「何もおきなくても、これは“訓練”と思えばいい」

そう思い、垂直避難と水平避難どちらの避難もすぐ出来るように次の対策をとりました。

【私がとった6つの対策】

①防災リュックを玄関口に置く

②テレビや携帯で気象情報を集める

③ラジオと懐中電灯の電池確認をする

④家財等を2階に移動させる

⑤早めに入浴を済ませる&生活水の確保

⑥夕食の準備にひと工夫

①防災リュックを玄関口に置く

これは、日頃防災リュックを準備している方であればすぐにできると思います。

いざ逃げる!という時に荷物を探している時間はありません。

前回の熊本地震ですでに経験していたので、今回は玄関の中でもさらに取りやすい場所に置きなおしました。

※熊本地震の経験と学びについてもまとめています!

経験から学べ!《熊本地震》から得た8つの学び はじめての方はプロフィール ブログ名“とりクロ”に込めた想いをまとめた“とりクロ”ってなあに? こちらも一緒に読んで頂け...

 

とりクロ
とりクロ
おっ、熊本地震の時の経験がいかされたね!
ふゆみ
ふゆみ
ちょこっとだけ成長できたかな?

②テレビや携帯で気象情報を集める

情報収集も必須ですね。いろんな所で情報が流れていますが我が家ではずーっとNHKにお世話になっていました。

その間子どもはTVが観れずに飽きてしまうので、おもちゃや絵本、Youtube動画などでごまかしながら過ごしてもらいました。

③ラジオと懐中電灯の電池確認をする

ニュースを見た時点ですでに夕方。もし豪雨の影響で停電した場合、テレビも観れないですし、照明すらもなくなります。

暗闇の中で情報がないのは不安と恐怖を煽り、正しい判断ができなくなります。

携帯のライトもありますが、なるべく携帯の充電は消耗したくないもの。

そこで、家にあるありったけの懐中電灯が点灯するかを確認し、ラジオの周波もあわせておきました。

④家財等を2階に移動させる

万が一浸水してしまった場合、真っ先に影響を受けるのは当然ですが1階ですよね。そこで、ノートパソコンやアルバム、電化製品など動かせるものはできる限り2階に上げておきました。

2階の中でもたんすの上など、なるべく上の方に閉まっておくといいでしょう。

⑤早めに入浴を済ませる&生活水の確保

もし被災した場合、命を優先するためお風呂などの優先順位は低くなります。

そのため家族全員、早めに入浴を済ませておきました。

我が家ではいつも最後の人がお湯の栓を抜くのですが、この日は断水する可能性もある考えて、あえてお風呂のお湯はそのまま残しておきました。

※心配性なので、洗面器にもささやかに水を入れておきました。

お風呂場は1階にあるため、浸水してしまえば使い物になりませんが備えあれば憂いなし、です。お風呂場のお湯が残っていれば、掃除やトイレなどの生活用水として使うことができますよ。

⑥夕食の準備にひと工夫

アルファ米などの非常食は玄関口に準備していましたが、それとは別にこの日はお米を多めに炊いてカレーを作り、ご飯の残りをおにぎりにしておきました。

【菌の繁殖&すぐに持ち出すためのひと工夫】

  • おにぎりはラップにつつむ→直接触れないため手を汚さず、食べ物が不潔になりません。
  • おにぎりは保冷剤+保冷バックに入れておく→避難するときに、多くの量をすぐに持ち出せます。
  • おにぎりの具に梅干しなどを使う→梅干しなどの具も菌の繁殖を防ぐのでおすすめです。

我が家は現在大人4人、幼児1人、超小型犬1匹という家族形成です。とりあえず私が一番防災に口うるさいため、あれこれ言ってこれらの準備を家族ですすめました。

避難場所自体が危険!?避難を迷わせた4つの理由

7月4日 深夜。

異常な雨音とともに、1時間おきに鳴り響く携帯の防災アラート。

「逃げなきゃいけないかな・・・」と思いつつも、心のどこかで

「まだ大丈夫だろう」という気持ちが入り交じりすぐに起きる事はありませんでした。

とりクロ
とりクロ
このように、「自分は大丈夫だろう」と都合の悪い状況を無視したり、過小評価するヒトの特性の事を【正常性バイアス】というんだ。

明け方5時頃、防災アラートが鳴った時点で川の水位が気になり、地元のこちらのサイトを確認しました。

「国土交通省九州地方整備局八代河川国道事務所ホームページ

場所によっては夜は見にくいですが、ライブカメラで10分おきに川の様子を見る事ができてとても便利です!危険を冒してまで川の様子を見に行く必要がありません。

川の様子を見に行くのは本当に危険です!

直接見に行かなくてもすむようにサイトで運営されている所もありますので、近くに川がある方は一度調べていただくといいかと思います。

ライブカメラの映像を見て私はびっくりしました。普段、私たちが見慣れている球磨川と思えない濁流がそこに映っていたのです。

今にも堤防を越えるのではないかと思うほど水位は上がり、今見ているこの光景が家からわずか徒歩5分程度しか離れていない場所で起こっていることに恐怖を感じました。

普通ならばここで「避難しなきゃ」と逃げますよね?

にも関わらず、この記事の冒頭でお伝えした通り私はすぐに逃げ出すことが出来ませんでした

とりクロ
とりクロ
こんなに危ないのに!?早く逃げなきゃダメでしょ・・・あ、最初に話してたやつか。
ふゆみ
ふゆみ
そう。もう少し振り返ってみたんだけど、4つ理由をみつけたよ!

【避難を迷わせた4つの理由】

①指定された避難場所が家よりも川に近い

②ペットを受け入れてくれる避難施設が少ない(補足あり)

③コロナウイルス感染の可能性

④避難が必要か判断する時間が“ある”

① 指定された避難場所が家よりも川に近い

私が住んでいる地区では、地震や水害すべて同じ避難場所を指定されています。

しかし、その建物は家からより川に近い場所にあり、家よりも頑丈ではありますが2階建てで高さもあまりありません。

あえて川に近い場所に避難することはとてもできませんでした。

②ペットを受け入れてくれる避難場所が少ない(補足あり)

我が家には超小型犬のペットがいます。

ペットと避難するのは様々な問題から難しいといわれており、ペットと一緒に避難できる場所はとても少ないのです。

今回の指定された避難場所がペットも受け入れてくれるかわからなかったので、すぐ避難することを躊躇しました。

ペットの避難に関する記事は後日別にまとめたいと思います。

※今回の豪雨では、ペット同伴避難可の避難場所が設置されていました。

③コロナウイルス感染の可能性

現在流行中の、コロナウイルス感染の可能性も考えました。

避難場所に行くとなると、3密となる可能性が高いです。

アルコール類やマスクなどの準備など最低限の感染対策はしていましたが

それでも3密となる場所に、幼い子どもを連れて避難するのはどうなのかと判断に迷ってしまいました。

④避難が必要か判断する時間が“ある”

予期せずおこる地震とはまた違い、水害には差し迫る恐怖があります。これが地震であれば、まず体を守る、逃げるなど自然と体が動きます。

対して水害は「本当に避難が必要か」と考える時間がある分、判断が鈍るように感じました。

また、前日に避難の準備や対策をしておきながら、夜中は心のどこかで「まだ大丈夫だろう」と油断していました。

日中~寝る前よりも、就寝中・夜中は判断力が鈍るのでより注意が必要だと思いました。

ふゆみ
ふゆみ
これは個人的な意見だけどね。
とりクロ
とりクロ
普通にしてても迷うのに、たしかに寝ぼけてたらそうなりそうだな。

とっさに思い付いた避難場所“ショッピングモール”

そうして迷いに迷って約2時間。

「このまま待機でも大丈夫かな?」という思いもよぎる中SNSチェック。するととんでもない光景、投稿の数々。

いつも通ってる橋が流された!
通っていた保育園が浸水してる・・・!

同じ市内、私の親戚が住んでいる町が浸水したのです。

親戚に電話したところ、幸い朝早く避難していたから無事なものの家は屋根まで浸水し、逃げるだけで精一杯だったそうです。

浸水した親戚の家と同じ川沿いにある我が家・・。

更に上流の人吉、芦北の被害も尋常ではなくダムの放流検討との情報も。

いよいよ危ないと判断し、速攻で車に荷物を放り込み、カレーが入った茶碗を離さない息子をそのままチャイルドシートに乗せていざ、避難開始。

ふゆみ
ふゆみ
ちなみにチャイルドシートはカレーまみれになりました(涙)
とりクロ
とりクロ
カレーのにおいもしばらく取れなさそうだね・・・

直前までどこに避難するか迷っていましたが、ふと「車丸ごと避難できる場所ってないかな?」と考えた時、思い付いたのがショッピングモール

橋を渡った先にある建物でしたが、幸い橋も渡れそうな状態であったため、すぐに移動しました。とっさに私がこの場所に避難した理由は以下の点です。

①緊急一時避難施設に指定されていた

②屋内駐車場であれば車外に出ても濡れない

③車ごと避難できる安心感

④隅でペットを散歩させる事ができた

⑤設備が充実している

①緊急一時避難施設に指定されていた

<a href=”https://www.photo-ac.com/profile/1264234″>orange kitsune</a>さんによる<a href=”https://www.photo-ac.com/”>写真AC</a>からの写真  お借りしました。

避難したのがたまたま朝だったのでオープン時間も近いことや、そのショッピングモール入り口に津波避難ビルの看板あったことを思い出したのでした。

②屋内駐車場であれば車外に出ても濡れない

ショッピングモールに着いてから、私は屋内駐車場側に車を停めました。

やはり同じような考えを持った方が多く、屋内駐車場はオープン前にかかわらず半分以上が埋まっていました。

大雨の中、ちょっとした移動でも濡れるのは避けたかったのでこの判断は正解だったと感じています。

③車ごと避難できる安心感

車で避難したことで避難場所の仕切りとなる段ボール等のように、車が丸々プライベート空間となります。

その他にも

  • まわりを気にせずカーナビやラジオで情報収集できる
  • 子どもにDVDを見せて気を紛らわせる事ができる
  • コロナ感染の「3密」を避ける事ができる
  • 「車」という財産を守る事ができる

といったメリットもありました。

④隅でペットを散歩させる事ができた

いくら避難といっても、何時間も車内にこもるのはペットにとって大変苦痛です。

今回は屋内駐車場に車を停めたため、天候も気にする事なく駐車場の隅のスペースを少し歩かせたり車内を気にせず水を飲ませたりする事ができました。

  • 普段からペットの散歩の場として使用するのはやめてください。
  • ペットの尿やフンの処理など、最低限のマナーは守ってください。

⑤設備が充実している

避難場所にもよりますがトイレ等の共有場所は混雑しますよね。

ショッピングモールは各所にトイレがあり、オムツ交換台や授乳室、ミルクを作るためのお湯なども完備されているため安心して使用できました。

ただ、万が一停電してしまった場合はミルクをつくるお湯がないという事になりかねません。

避難する際はたとえショッピングモールでも、ミルク用のお湯や湯冷ましなども準備しておきましょう。

最近は液体ミルクも各メーカーから販売されているので、赤ちゃんは一度飲めるかどうか試してみるといいですよ!


こうして数時間をショッピングモールで過ごしました。その後市房ダムの放流中止、雨もあがった他川の水位も徐々に下がってきたため一旦家に帰りました。

子どもにとっては何てことはないドライブだったかもしれません。それでも、私にとっては忘れられない1日となりました。

振り返り

今回の氾濫は私の地元である球磨川で発生しましたが、全国各地のどの川で発生してもおかしくない現象です。

地域のハザードマップを確認して、自分のいる場所でどのような危険があるかを把握してみてくださいね。

自分の身を守れるのは自分自身です!

今回の私の体験が、少しでもだれかの防災の知恵としていかしてくれてたらうれしいです。

「ほかにもこんな対策があるよ!」などご意見がありましたら、お問い合わせから気軽にお問合せくださいね。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

ABOUT ME
ふゆみ
心配性なアラサー主婦。近年増加傾向にある自然災害から家族・子どもを守るために、「とりこし苦労で構わない!」精神で防災対策を実践中。防災関連の資格取得が目標!2020年5月にサイト開設!Instagramでは日常や育児マンガを投稿中。